SOFU News Letter vol.32 2005.6.17 by Kumamoto_ken Hoikukyoukai_Seinenbu

 

青年部実践研修(1)「園児キャンプ研修会」

青年部実践研修(1)「園児キャンプ研修会」晴天に恵まれ、無事終了! 

 本年も青年部伝統のキャンプ研修が去る6月7,8日に開催された。今年のキャンプ地は宮崎県との県境にある市房山キャンプ場(http://mizukami.kichi.com/camp/)。シカも出没するというまさしく大自然に囲まれたロケーションの中、参加者は76名、和やかな雰囲気で開催された。開会式では県青年部部長の福嶋より「自然の中で汗を流し、いろんな事を体験して下さい。こちらが用意したプログラム以上の物を持って帰って下さい。」と挨拶。司会は最近すっかりおなじみの藤田、横山が担当。簡単なオリエンテーションの後、早速研修へと進んだ。以後、各研修のレポートを記す。

○研修1「キャンプ実践報告」

  御船昭和保育園 園長 沖田 昌史 氏

開校式の後、御船昭和保育園園長 沖田昌史氏による研修1が行なわれた。研修1では「実践研修」としプロジェクターにてスライドショー・ビデオを映しながら、今年度行なわれたキャンプを説明頂いた。

御船昭和保育園及び他2園による「3園合同キャンプ」は5月20日から21日にかけて阿蘇郡長陽村「地獄温泉キャンプ場」にて行なわれた。準備段階として必ず前年度と同じキャンプ場であっても現地下見を行うとのこと。現地下見チェックリストを作成し、アクセスや駐車場、施設、緊急指定病院などチェックに漏れがないよう、そして保育士の力量、経験に左右されないシステムをしっかり作っている印象を受けた。この他、問診表、健康状況調書等すぐにでも自園で取り入れたい仕組が盛り沢山であった。

また、保護者会のキャンプに対する協力体制に独自性があり、とても参考になった。園からは会長以下、保護者会役員6名にキャンプに参加できる権利を与え、その権利を行使するかは本人に任せてある。子どもと一緒にキャンプに参加したいとの想いから、(保護者は、)「積極的に役職についてくれる」とのこと。キャンプが、保育園〜保護者会の関係に好循環を生み出していることを感じた。

沖田先生による研修は、園長先生自身が園児・保護者と共に深くキャンプに関わっておられる為、まさしく実践研修の名に相応しく、すぐにでも園で取り入れることが出来るようなアイデア沢山の研修であった。(備海)

 

○研修2「実践!!キャンプ研修」(自然の中で楽しく)

 〜みんなー、インディアンになってあそぼーっ!〜

  熊本YMCA学院 主任講師 石岡ひろみ 氏

研修2では、熊本YMCA学院 石岡ひろみ氏(ひよこリーダー)を講師に招き、歌「キャンプだホイ♪」もちろん、ギターは福田氏(熊本県青年部副部長)の軽やかなリズムで楽しく研修が始まった。ひよこリーダーの魅力と導入による歌やゲームが続く中で、徐々に参加者の緊張が解かれ、一つの『仲間』が自然にでき、参加者の笑顔が絶えない楽しい研修となった。

☆楽しい研修の裏には、ひよこリーダーとスタッフとの入念な打合せによるものが大きい。ひよこリーダーの「おはようございま〜す!!」と溢れんばかりの笑顔による雰囲気作り、福田氏とのバックミュージックの確認、と練習・・・大半はキャンプファイヤーの打ち合わせで、インディアンの登場の仕方や歌の練習、メロディーの確認をした。特にインディアンは、昨年に増し、顔や腕にペインティングをしたりして雰囲気を大切にし、その時を、又は空間をいかに魅力的なものにできるかを考えたものになっていった。・・・実際、前半のゲームなどで和んでいた参加者の気持ちを一瞬でつかみ、点火の時の静けさは後ろで見ていても鳥肌が立つような感じさえ受けた。

 取材をする中で、改めて準備の大切さを感じた。周りを巻き込んでいける演出や展開ができるように準備していきたいと思った。今回の楽器は、ギターだけでなくジャンベetc・・・様々な楽器も使用して場の雰囲気を出していった。(吉本)

○夕食&懇親会

 研修2に引き続き、同じファイヤー場で夕食のバーベキューを行った。参加者同士も研修を通して徐々にうち解け、お互いの保育園の話など、交流を深めていた。9時からの懇親会では研修1の沖田園長によるミニバー、加登住先生の生バイオリンなどが飛び出し、参加者の笑い声の中、あちこちで盛り上がりを見せた。

○朝の集い&朝食

 司会の藤田先生の呼びかけにより、午前7時に参加者が集合。スタッフによる朝食の準備が進められる中、ひよこリーダー主導のエアロビクス体操で身体を目覚めさせる。体操の効果か、牛乳パックを使ったホットドッグや、焼きおにぎりは飛ぶように無くなっていった。(永田)

○研修3 分科会「奥球磨マイスターに学ぶ」(地元の人によるフィールドワーク)

奥球磨マイスターとは 水上村には、水の上の学校というものがある。街に住む人たちに、昔ながらの伝統文化や技術を経験してもらい、「自然との共生」を身近に感じてもらうことで、少しでも次世代へ継承していくことを目的とした講座である。奥球磨マイスターはそのような考えを持った伝統技術や知識を持った地域住人によって構成されている。※マイスター:ドイツ語で「職人」の意

 

 ・コース1 湯の里自然散策

 自然散策は、「キャンプ場から繋がる道より参道へ入り、市房神社で折り返しキャンプ場まで帰る」というコースを、約2時間かけて歩いていくのであるが…、いろいろな意味で想像以上のものであった。

 管理棟に集まった参加者及びスタッフ総勢30数名は、山登りの諸注意(蜂に襲われないように:香料はつけない・なるべく白い服を着用する)を担当スタッフから受けた後、散策マイスターの高橋氏を先頭に意気揚々と散策を開始。しかし、参道に入ってすぐから道は山道となり、さらに登っていくと樹齢700年や800年といった大木や切り株、石の上から地面に根を下ろしている何とも不思議な形の樹など、時間と自然が作り上げた世界が待ち受けていた。川の上にかけられた橋は丸太を3〜4本並べたような感じのもので、正直1人か2人は落ちそうになるかも…と思っていたが、全員無事に渡り終える事ができ一安心。その後も、参加者の口数が確実に少なくなっていく中で、ようやく神社の石段までたどり着いたのだが、ここからがまた長いの険しいの…。そうこうしているうちに、どうにか目的地である市房神社に全員無事にたどり着き、縁結びのご利益があるというこの神社にこの日一番の真剣な面持ちで全員お参りし帰路に着いた。帰りの道のりは下りということもあり軽い足取りで進み、比較的短時間でキャンプ場に到着できたのだが、達成感と疲労感とが程よく感じられた事と、普段は体験することのない自然散策を満喫できた清々しさが本当に気持ちよかった。

 木洩れ日と木の香り、川のせせらぎを感じながら、マイスターによる森の生命の循環の説明を聞き、直接木々に触れる体験は、ここ市房山キャンプ場ならではと感じた。マイスターとまではいかなくても、登坂ルート、説明すべきもの、活動内容等を、園児向きにアレンジすれば、自園でも十分な体験活動となり得るヒントを与えてもらった活動であった。(山崎)

 ・コース2 蔓(かずら)小物作り

 材料となる蔓(かずら)は、加工のしやすさ、仕上げの美しさなどから、研修初日に、隅川キャンプ長と共にスタッフがキャンプ場の裏山にの採集に行った。木にからみついている蔓を急斜面の場所であるにもかかわらず、無我夢中で採集していった。

分科会の蔓小物作りの講座は、キャンプ場内の広場で行われた。

内布氏(マイスター)、研修参加者23名、青年部スタッフ9名、ゲストの沖田先生で行われた。はじめに、マイスターを取り囲むように参加者が座り説明を受け、その後早速小物入れ作りに取り組んだ。参加者は初めのほうは四苦八苦していたが、飲み込みの早い人はしっかり蔓を編み込み、最終的には殆どの参加者が「蔓小物入れ」を作ることができた。参加者は蔓を織るという事と出来上がった自分の作品の出来に大変満足していた様子。スタッフ数人は、巨大な蔓の小物入れづくりに取り組んでいた。

【マイスターの話】林業や農業で生計を立てる傍ら、折にふれて果物を入れるカゴなどを作っていました。蔓織りは、三年前買ってきたカゴを分解して蔓で再現してみたのが始まりです。皆さんが蔓織りなどを通して、子どもたちに自然を大切にする心を伝えてくれると嬉しいです。

【参加者の声】

・普段このように木の枝を織って物を作る機会がないので新鮮でした。

・個人個人への説明対応が多かったので、ビデオなどでもっと全体に向けての説明があればわかりやすかったのではないでしょうか。

・蔓など自然のものをもっと積極的に使って製作物を作れば、子どもたちはもっと自然に興味を持てるようになって良いかもしれない。そういう点で勉強になりました。

「蔓小物入れ」を自分の園に持ち帰って実践しようとした場合、蔓(かずら)だと編むのに力が要るので子どもたちには難しいかもしれない。保護者参加型のキャンプを行っているところでは、子どもと保護者が一緒になって作るというやり方もいいかもしれない。「小物入れ」だけで考えれば、蔓の代わりに新聞紙や、広告の紙で代用できるので今回の編み方を生かせると思う。(福島モ)

(あとがき)大成功に終わったキャンプ研修。その中で、研修初日に、参加者の1人が蜂を踏みつけ、足の裏を刺されるというアクシデントが起きました。その際にキャンプ場職員の方が取った処置が、毒を口で直接吸出し(足の裏という部位にも関わらず!)、消毒として焼酎をかけ、「(毒の)味があまりしないから大丈夫ですよ」と一言。知識と体験がもたらす迅速な処置と、きれい・汚いなどではなく、何を最優先にして命を救うべきか、ということを教えて頂いたように思います。

予測される危険とその対応を考え、その子の、その人の命を守れる人となるべく、知識と体験、そして実践していける行動力が必要ではないかと考えさせられました。(山崎)


青年保育者の叫び〜今の保育を俺に斬らせろ!〜

昨今の現状を見て非常に危惧する。

三位一体の改革ではない。「靖国参拝」でも「北朝鮮問題」でもない。

『子どもたちに未来はあるのか!?』

この一言に尽きる。

ここ数年、卒園の時期になると俺は葛藤する。「『君たちの未来は明るい!』…っと、本っ当に俺は言い切って、この子達を送り出しているのかッ!?」っと。

「おめでとう!おめでとう!」。ニコニコして言ってるけど、今の小学校は昔のように緩やかな中での授業じゃないし、(教育内容を大幅に削って)「本質を掴む」という手がかりも見あたらなくなったし…。

社会を見れば、選挙の投票率が低ーい時期が長―く続いているんだよ。これはね、「皆の事を考える」という思いやりが大人から薄れていった証拠なんだよ。だから自分のことばっかり。だからギチギチ。子どもの荒れの問題が小学校や幼稚園・保育園のせいになっているけど違うね。大人から、社会から思いやりが薄くなったんだよ。

社会は君たちをどんな風に受け入れるのだろうか?

…俺は言いたい。腹の底から言いたいんだ!大袈裟に言えば、自分の存在する社会のプライドをかけて言いたいんだ!

『君たちの未来は、明るいぞー! がんばれよっ!!』って。

言えない自分がここにいる。保育者の端くれとして哀しい、そして社会人として申し訳ない。

だけど与えられた場所がここにある以上、保育で頑張るしかない。これからの社会に生きる子どもたちに何を伝えなければならないか。今、社会人として何を考えなければならないか。

自分の価値に気付かせよう。「(自分には)価値があるんだ!」って。どんな状況になっても自分を見失わないように。愛だ!思いやりだ!マザーテレサのように。その中で育まれる自主性・意欲・思いやり。きっとこれが今の保育者の課題だ。

・・・今の保育を斬れば、こんな血が流れてきそうだ。

「本当ニボクタチノ未来ハ明ルイデスカ?」              By 橘


戻る